不確定申告

tanaka0903

読書

ハイジのこどもたち

シャルル・トリッテン著「ハイジのこどもたち」を読んでいるのだが、 アルムおじさんの名はトビアス・ハイムというらしい。 なるほど、アルムおじさんの息子の名前はトビアスだから、 その父の名もトビアスである可能性は高い。 トビアス・ハイムはオースト…

国を救った数学少女

まあまあ面白い。 特に出だしのノンベコの話は面白いが、 突然スウェーデン人の話に切り替わり、 交互にストーリーが進展していく。 まあそれも最初のうちは我慢して読んでいたが、 だんだんに話が拡散して行く。 鄧小平やブレジネフやカーターが出てくるあ…

最近なんどかつづけてじんましんが出たり、胸焼けしたりして、 薬も少し変えたし、体調悪いんだか、体力落ちてるんだか、ともかく健康がいろいろ不安。 胸焼けの理由はたぶんある種のマーガリンかバタークリームだろうと思う。 謎のチョコレートや謎のトルコ…

『宣長さん』3

45 神童にしてはならない。宣長さんが神様になってしまうとき、学問は、とまる。少なくとも伊勢の青少年の可能性は摘みとられる。 これも面白い言及である。 著者が伊勢の高校国語教師であるから、その視点から宣長はそういうふうに見るべきだということだ。…

『宣長さん』2

小林秀雄は宣長の桜に対する異様な愛着に気付いていたが、 中根道幸は、宣長が自らを「神の申し子」と信じ切っていたことによる、と断言する。 つまり、子の授からなかった宣長の父母が、吉野水分の子守明神に願掛けをしたことによって宣長を儲けたことを言…

『宣長さん』中根道幸

小林秀雄の『本居宣長』を読み返すのと平行して、宣長について書かれた本を一通り読んでいる。 子安宣邦という人が宣長の本をたくさん書いている。 どうもこの人は平田篤胤との関係で宣長を論じたいところがあるようだ。 宣長に関する本では小林秀雄と中根道…

内在律

漢意(からごころ)とはすなわち内在律である。 時代環境や教育によって後天的に獲得した、無自覚的、無意識的に思考を束縛し規律するものだ。 第一に漢意儒意を云々。 おのれ何につけても、ひたすら此の事を言ふは、故無くみだりに、これを憎みてにはあらず…

察然和尚

宣長年譜 元文4年(1739) 同四年【己未】血脈受入蓮社走誉上人。【伝通院中興ヨリ二十七世之主矣】法名英笑号也 宣長年譜 寛延元年 (1748) 樹敬寺宝延院方丈にて観蓮社諦誉上人蓮阿◎(口編に爾)風義達和尚に五重を授伝し、血脈を授かり、伝誉英笑道与居士の道…

今日日本の詩というものがまったくわけのわからないものになってしまった要因はいくつかあると思う。 イギリスと違ってアメリカという国が文芸の中で詩をあまり重視しないからであるかもしれない。 戦前、近代文芸史における詩の本場はイギリス、フランス、…

今の世の人は頼まじ

学者はただ、道を尋ねて明らめるをこそ、つとめとすべけれ。私に道を行ふべきものにはあらず。されば随分に、古への道を考へ明らめて、そのむねを、人にも教へ諭し、物にも書き遺しおきて、たとひ五百年千年の後にもあれ、時至りて、上にこれを用ゐ行ひたま…

筆者の余技

小林秀雄『本居宣長』補記一 今日遺されている彼の全著作が、筆者の余技を出ないものという事であれば、田中さんが言われたように、プラトン研究家は困ったことになる。プラトン自身はどうでもいいと思っていた文章から、その明さなかった哲学思想の核心とな…

恩頼図

小林秀雄『本居宣長』第四章 佐佐木信綱によって発見された本居大平による「恩頼図」というものがあり、 これに宣長の学問の系譜が記されている。 大平とは宣長の弟子の稲懸大平という者だったが、宣長の実子・春庭が眼病で失明して以来、 養子となった人。 …

小林秀雄『本居宣長』

小林秀雄『本居宣長』をまたしても読むことにした。 今度は徹底的に読むつもりだ。 以前に書いたもの。 「本居宣長」連載、 小林秀雄 源氏物語、 池田雅延氏 小林秀雄を語る。 小林秀雄は1902年生まれ。 『本居宣長』は 1904年創刊の月刊の文芸雑誌『新潮』…

内在律

筒井康隆の『短篇小説講義』p. 10 小説とは、何を、どのように書いてもよい自由な文学形式である。 小説 == novel とは何か自由なもの、新しいもの、 それまでの戯曲や詩などの文芸形式を呪縛していた「外在律」に縛られない文芸形式だと、 筒井康隆は断言す…

擬人化

『文学部唯野教授』 p. 101 この人は「海霧(ガス)の擬人化というあざとい手法」などと書いているところから、海霧(ガス)の擬人化ということだけはわかっていて、それがわかったとたん、それに感情移入することをやめちゃったの。「あざとい手法だ」と思…

文学部唯野教授4

31 批評は小説を切りきざんで分析したりしちゃいけない。まずどっぷりと思う存分、詩的体験に身を浸しなさい。味わいなさい 『されば、緒の言は、その然云フ本の意を考へんよりは、古人の用ひたる所を、よく考へて、云々の言は、云々の意に、用ひたりといふ…

文学部唯野教授3

『文学部唯野教授』を読み返してみようと思ったのは、 『短編小説講義』を読んでみて、すごくわかりやすかったからだ。 やはり筒井康隆という人は他の人に比べるとはるかに深く良く理解しており、 またわかりやすく説明できる人だなと思った。 『文学部唯野…

小林秀雄の芸

白洲正子「花にもの思う春」p.64 小林秀雄には「飴のやうにのびた時間」「一枚の木の葉も、月を隠すに足りる様なものか」といった、一言でずばりと真髄を貫く言葉があり、愛読者はみな空で覚えたものなのに、 「本居宣長」にはそんなものは一つもない。「批…

頓阿の草庵集

今でもよく憶えてゐる。われわれ松浦先生の門下で作つてゐた紅葉会では、よくいくらか冗談半分に「何々の恋」とか「寄する恋」、例へば「虫に寄する恋」とか「花に寄する恋」とかいふ題で詠ませる習慣があつた。深窓の処女といへども歌の練習にこれを作つた…

大塚英志『キャラクター小説の作り方』

非常にためになった。 親切に書かれた良い本だと思う。 ところどころ反論したいところはある。 彼が「キャラクター小説」と言いたいところのものは今の「ラノベ」である。 彼がこの本を書いた2003年当時には「ラノベ」という言葉はなかった。 ラノベや漫画や…

高橋源一郎『一億三千万人のための小説教室』

もちろん、小説が嫌いな小説家はいないはずです(たぶん)。 さて。 私が小説家かどうかはひとまずおいて、 私はどちらかと言えば小説が好きだから小説を書いているわけではない。 私は最初は画家になりたかった。 それから歌人になりたいとも思った。 画家…

言文一致

たまたまヒマがあって図書館で「小説の書き方」みたいな本に一通り目を通したのだが、 どれもだいたい明治の頃に「言文一致」運動というのがあってそれまでは書き言葉と話し言葉の二種類があったのだが、書き言葉が捨てられて話し言葉で小説を書くようになっ…

近代とポストモダン

石原千秋『教養としての大学受験国語』というのを読んでいるのだが、この著者によれば世の中の評論というのは、 現実を肯定的に受け入れる保守的な評論 未来型の理想を掲げる進歩的な評論 現実を否定して過去を理想とするウルトラ保守的な評論 の三種類しか…

『虚構の歌人』を改めて読み直してみたが、これはもうね、書いては削り、書いては削りで、 最初は百人一首の謎みたいな話だったのが藤原定家伝みたいなものになり、 それから定家と禅みたいな話になりそうになり、 さらに承久の乱とか北条泰時の話が書きたく…

『古今和歌集の真相』を出したのは今から2年も前のことになってしまった。 それで読み返してみるともうほとんど何もかも忘れてすごく新鮮に読める。 この頃からすでに藤原定家とか古今伝授とか後鳥羽院の話を書いている。 『虚構の歌人』には自分の歌もけっ…

また道玄坂に行ってきたのだが、 今の世の中、本を読む人はどんどん減っていて、逆に本を書く人、小説家になりたい人がどんどん増えている。 そして今や本を読む人と本を書く人がほとんど同じくらいになってしまっている、らしい。 本を読む人は自分も書いて…

auブックパス

ガラケーをスマホに買い換えて約1年。 最初は出たばかりの xperia Z ultra を買ったのだが、 無茶な使い方をしていたせいでとうとう割れて使えなくなった。 それで今度は xperia z3 にした。 xperia は初代タブレットの頃から使っているが、 だんだんによく…

パソコンと図書館

図書館に行って新編国歌大観って電話帳みたいな本読みながら、和歌を俺様のレッツノートでメモろうとしたのだが、 持ち込みパソコンは専用のブースに行って使ってくださいみたいなこと言われて、 その専用ブースってのは違う階にあって、しかも席が限られて…

徳川制度

図書館で借りて面白いんだが、読んでも読んでも終わらん。 電話帳か辞典みたいなもんで、一度に読むのは無理。 これはもう買うしかないかもしれん。 小説を書く上でのヒント、時代考証が満載。 小伝馬町の牢屋敷の図面、裁判の判決事例等々。 うん、江戸時代…

崩し字が読みたい。

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