不確定申告

tanaka0903

漢詩

白髪老翁猶欲娯 彷徨日暮入酒舗 秋風未吹真夏夜 独客不得不感孤

近藤勇の漢詩

近藤勇の漢詩は探すとかなりある。 単に頼山陽に心酔し日本外史を愛読していただけでなく、 詩もよく作る。 富貴利名豈可羨 悠悠官路仕浮沈 此身更有苦辛在 飽食暖衣非我心 富貴利名豈に羨むべき 悠悠として官路の浮沈に仕ふ 此の身に更に苦有りて辛在らんと…

道元 永平広録 巻十 偈頌

最近このブログで 山居がよく読まれているようだが、これは、 tanaka0903と名乗る前から書いていたWeb日記に載せた記事で、2001年のものであるから、 かなり古い。 どんな人がどういう具合でこのページにたどり着くのだろうか。 興味ぶかい。 最初に書いたの…

狂雲集

一生受用米銭吟 恥辱無知攪万金 勇色美尼惧混雑 陽春白雪亦哇音 狂雲真是大灯孫 鬼窟黒山何称尊 憶昔簫歌雲雨夕 風流年少倒金樽 まだ良く調べてないのだが、一休の漢詩集。 wikiによればこの中に 門松は 冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし と…

衆人皆酔且喫煙

酒を自制する詩。 ああ、これは二度の入院の間に作った詩だな。 懐かしいな。 今はもうけっこう酒飲んでるがね。 完全に忘れてた。 平仄がむちゃくちゃ。 そりゃそうだわな。 平仄守り始めたのは二度目に入院した後だからな。 押韻すらしてない。 恥ずかしい…

大津皇子

日本で最初に漢詩を作ったのは大津皇子ということになっているのは『懐風藻』の冒頭にいくつか大津皇子として漢詩が載っているからだ。 大津皇子がほんとに漢詩を作れたかはあやしい。 弘法大師が温泉見つけたようなもんだと思う。 が、しかし、作ったかもし…

小野篁

小野篁は菅原道真と同様に和歌も漢詩もうまかった人ということになっているのだが、 漢詩人というには詩がそれほど残っていない。 たとえば、頼山陽なら一冊の詩集になるくらい大量に詩を作っているし、 当時も菅原道真や嵯峨天皇は大量に詩を残している。 …

嵯峨天皇

嵯峨天皇「春日遊猟、日暮宿江頭亭子」 三春出猟重城外 四望江山勢転雄 逐兎馬蹄承落日 追禽鷹翮払軽風 征舟暮入連天水 明月孤懸欲暁空 不学夏王荒此事 為思周卜偶非熊 これは恐ろしく良くできた詩だ。 平仄も押韻も対句も完璧。 しかも、天皇なのに乗馬して…

経国集

経国集 はここで読むことができるが、立派な漢文の序文がついている。 やはり、この流れで行くと、古今集の序も最初は漢文だったのではないかと思われてくる。 どうかんがえても淳和天皇の勅撰じゃないだろ。 嵯峨上皇の命令だと思うよな、普通。 滋野貞主が…

本居宣長の漢詩

在京時代の本居宣長の漢詩が二十数編残されているが、 凝り性な宣長君らしく、平仄は完璧。 春日早朝 鶏鳴九陌報清晨 初日纔昇映紫宸 金殿出霞花気暖 玉楼経雨柳條新 群臣集奏千秋寿 蛮客貢陳四海珍 且識天杯元承露 聖明恩沢更含春 新年の御所の様子を詠んだ…

平仄

漢詩を作ったり、漢詩作成支援ソフトなど作ったりしているので、 気になるのだが、 通常「平仄」という言葉は、 「平仄が合わない」とか「平仄を合わせる」という言い方をすると思う。 で会議に出ていて気になったのだが、 規約の言葉遣いを整合させることを…

漢詩とか。

松下緑『漢詩に遊ぶ 読んで楽しい七五訳』を読む。 なるほど、井伏鱒二が「人生足別離」を「さよならだけが人生だ」と訳し、 それを太宰治がいつも口ずさんでいた、のはまあ良いとして、 また、漢詩には七五調で訳するとしっくりくるものも中にはあるだろう…

碧海青天夜夜心

いいちこのキャッチコピーに見つけた。李商隠の嫦娥という詩。 雲母屏風燭影深 長河漸落曉星沈 嫦娥應悔偸靈藥 碧海青天夜夜心 わかるようでわからない。長河が天の川だというのはわかるのだが、夜の情景かと思うと青天とある。夜空を青天などというだろうか…

白石詩草

日本古典文学大系に新井白石の詩がのっている。もとは「白石詩草」に収められている。 早稲田大学 でJPEGとPDFが公開されている。 楷書できちんと書いてあるので読むのは容易だが、意味はわかりにくい。 彼が吉原を詠んだらしい詩がある。吉原だろうと思うが…

「過」には平仄で言うと「箇」と「歌」の二種類があり、 「箇」の方は過ぎる、の他に誤りとか罪の意味がある。 「歌」の方は過ぎる、の他に立ち寄る、訪れるの意味がある。 「百代の過客」などと言うが、この「過客」は、通り過ぎるとも訪れるとも解される。…

大塩平八郎と王陽明

大塩平八郎の詩に 春暁城中春睡衆 遶檐燕雀声虚哢 非上高楼撞巨鐘 桑楡日暮猶昏夢 というのがあるが、これは王陽明の「睡起偶成」という詩 四十餘年睡夢中 而今醒眼始朦朧 不知日已過卓午 起向高樓撞曉鐘 にちなむのであろうと今気付いた。 大塩平八郎は「小…

甲陽

洛陽とか漢陽などと言う。 洛陽は洛水という川の北にあるからである。 武漢の漢陽は漢水の北にあるからだし、ソウルを漢陽とも言うのは、漢江が南に流れている都市だからだ。 「陽」とは本来は、北が高く南が低い土地のことで、南に川が流れていて北に山があ…

「是」は難しい。 漢和辞典を見ると、「是」は「これ」「この」という指示代名詞であると書いてある。または「ただす」という意味だと。 しかし中日辞典では、たしかに書き言葉として「是日(この日)」という使い方もあるにはある。 たとえば李白の詩に「疑是…

八股文と五言排律

岩波文庫の「唐詩選(中)」を読んでいて気付いたのだが、 四書題(八股文)と五言排律とはその文書構造が酷似している。 どちらも科挙に出題される。 偶然の一致とは思えない。 というわけで、 帝都春暦 に少し加筆した。 wikipedia 八股文 に 三田村泰助(1976…

漢詩

毛沢東の七言律詩 人民解放軍占領南京。 少し面白い。 七言律詩は一二四六八で押韻し、初句は押韻してもしなくても良いらしい。 二句目だけ「江」で、残りは「陽」。 「江」と「陽」はいわゆる通韻ではない。 「江」と通韻できるのは「東」「冬」だけ。 「陽…

病中偶成

漢詩は推敲し始めると止まらない、ということがよくわかった。 漢詩の作り方の本など熟読。 日本人は直感的に漢詩の良し悪しを判断できない。感覚的に作れないから、どうしても規則にこだわってしまう。 こだわらざるを得ない、ということもわかってきた。 …

十年磨一劍

劍客 賈島 十年磨一劍 霜刃未曾試 今日把似君 誰爲不平事 「十年磨一劍」は頼山陽のオリジナルではなかったということか。 ただ、「遺恨十年、磨一劍」とアレンジしたところはうまい。

未だに推敲してるのだが

病度両月兪益憂 起臥無聊似俘囚 迎秋不覚秋風冷 窓外只眺片雲流 ふと、終わりの行が李白の詩に酷似しているのに気づいてしまった。 故人西辭黄鶴樓 煙花三月下揚州 孤帆遠影碧空盡 惟見長江天際流 無意識のうちに真似てしまったのだなあ。

入院一ヶ月経過して作った詩

臥病一月過無聊 臥病一月無聊に過ぐ 安穏起居似幽囚 安穏として起居す、幽囚に似たり 迎秋不覚秋風冷 秋を迎えて秋風の冷たきを覚えず 窓外只眺片雲流 窓外、只、片雲の流るるを眺む 「囚」はqiu/ であり、「流」は liu/ であって、現代の普通話でも韻を踏ん…

押韻に絶望する

十載夢飛巴里城 城中今日試閑行 画楼涵影淪綺水 士女如花簇晩晴 これは、成島柳北がパリを訪れたときに作った漢詩だが、行と晴が、一見押韻してないように見えるが、 いずれも韻字は庚であり、`ing と発音する。 まったく見当もつかない。 しかし、調べてみ…

「濹」という字を林述斎や鳥居耀蔵らが勝手に作って「濫用」していたのはちょうど天保の改革の頃、 大塩平八郎の乱の頃だった。彼ら父子が勝手に使っていただけで、鳥居耀蔵が配流になってからは、 誰も使っていなかったのを、幕末維新の頃になって成島柳北…

鳥居耀蔵

永井荷風は、『濹東綺譚』の後に「作後贅言」として、長い長い後書きを書いている。そのほぼ冒頭 濹の字は林述斎が墨田川を言い現すために濫りに作ったもので、その詩集には濹上漁謡と題せられたものがある。文化年代のことである。 幕府瓦解の際、成島柳北…

感を書す二首

『勝海舟全集20 海舟語録』を読んでいる。これには和歌集と漢詩集もついている。 勝海舟の全ての和歌と漢詩が収録されているとはとても思えないが、多少役には立つ。 勝海舟は、文久3(1864)年11月10日に軍艦奉行を罷免されてから、慶応4(1868)年1月17日…

寂室元光

寂室元光という人の漢詩がけっこうしびれる。 もっと他にはないのだろうか。 不求名利不憂貧 名利を求めず、貧を憂へず 隠処山深遠俗塵 隠処は山深く、俗塵に遠し 歳晩天寒誰是友 歳晩天寒く、誰か是れ友なる 梅花帯月一枝新 梅花月を帯び、一枝新たなり 風…

鉤月

道元の山居という漢詩は日本の文芸史の中では割と有名な詩らしく、 少なくとも決して珍しい詩のたぐいではなくて、 北川博邦『墨場必携日本漢詩選』、猪口篤志『日本漢詩鑑賞辞典』などに掲載されている。 「墨場」というのは初めて知ったが、文人たちが集ま…