不確定申告

tanaka0903

2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

類題和歌集

後水尾天皇は、それまでの勅撰集のやり方をやめて、 類題和歌集というものを作り始めた。 古今集よりも後の勅撰集は、その前に出た勅撰集と歌がかぶらないようにした。 だが、類題和歌集は、それまでに出た勅撰集からも採れば、 それ以後の歌も採る。 歌の数…

後鳥羽院

あいかわらず丸谷才一「後鳥羽院」 駒なめてうちいでの浜をみわたせば朝日にさわぐしがの浦波 1200年、後鳥羽上皇が20才のときに詠んだ歌。 承久の乱は1221年、それから21年も後のことだ。 丸谷才一は、この歌を、彼らしく「物騒な趣」だとか「いっそ思い切…

上田秋成

上田秋成の「つづらぶみ」を読んでいるが、 秋成の歌は相当うまい。 おそらく公平に見て、近世の歌人で一番うまいのが秋成、その次が良寛、景樹、 または蘆庵というところだろう。 この四名は一流と言って良いと思う。 「つづらぶみ」の冒頭だけ見ても、 都…

新編国歌大観

図書館で新編国歌大観を見てげんなりした。 まあいわば電話帳みたいなもんです。三段組みの。 それにこれでもかこれでもかといわんばかりに和歌が書かれてある。 一行に歌一つ。 21代集なんかこんなの読まなくてもほかにいくらでもあるわけで、 私が読みたか…

丸谷才一「後鳥羽院」

いろいろ手を広げすぎてもうわけわかめ。 新編国歌大観を図書館で見ておなかいっぱいになった。 しかし、これにも載ってない歌もたくさんあるんだろうな。 めんどうだ。 丸谷才一「後鳥羽院」読む。 目のつけどころは良いんだろうなと思う。 歴代天皇の中で…

後鳥羽院四百年忌御会

後鳥羽天皇が隠岐の島で死去して400年目(1638)に開かれた歌会、その冒頭の後水尾院の御製 恋ひつつも鳴くや四かへりももちどり霞へだてて遠き昔を なぜ4回なくかというと、ももちどり、つまり百匹いる千鳥が (いやほんとは百千いる鳥、なのかもしれないがそ…

子規と曙覧

子規は曙覧を評して 明治に生れたる我らはかくまで貧しくなられ得べくもあらず。 などと言っている。 私も最初はだまされた。 橘曙覧は江戸時代の石川啄木だと最初は思った。 しかし、曙覧は別段貧乏な家の生まれではなく、好きこのんで山の中の家で暮らし始…

子規と景樹

改めて歌よみに与ふる書を読んでみると、 子規が景樹を褒めていて驚いた。 香川景樹は古今貫之崇拝にて見識の低きことは今更申すまでも無之候。俗な歌の多き事も無論に候。 「古今貫之崇拝にて見識の低き」とはおかしな言い方だ。 だいたいだじゃれがすきな…

歌道

たとえばだが、華道、茶道、書道、剣道、柔道、居合道など、だいたいこれらは江戸時代の習い事に由来しているわけで、 どれも江戸時代に確立された古態をそれなりに継承している。 歌道もまたそうだったはずだ。 歌道は、いろんな習い事の中の一つとして嗜ま…

さくらまつり

まだ全然咲いてないのにさくらまつりとて 春を浅み色香の足りぬ花を見にしひてつどへる市の店並み 花を見て酒によはむと思へども花は少なし日もまた寒し 山のはに日はかたぶきてかげりゆく麦酒寒き春の夕暮れ 春遅く花は咲かましうらうらとあたたかき日に花…

江戸時代の歌人

wikipedia のカテゴリーに 江戸時代の歌人てのがあってそこから芋づる式に歌人がわらわらとたどれるのだが、 たとえばだが、このカテゴリーの中には本居宣長は入っていない。 宣長は歌人として認識されてないということだろう。 後水尾天皇も入ってない。特…

潔い

いさぎよいとは「いさぎ」が良いのではなく、 「勇」が「清い」のだな。

千春の名曲ベスト4

唐突だが、松山千春の名曲トップ4曲を決めた。 炎 この世で君が一番好き 愛しているから 時計 「愛しているから」は割とマイナーなんだな。 カラオケにないことも多いし、gooの歌詞にもない。

梅颸詩抄

「梅颸日記」は見延典子の「すっぽらぽんのぽん」などである程度わかるのだが、原本を見るのはちと難しいようだ。 「梅颸詩抄」は入手困難。 そもそも「颸」がOPACで検索できない。困った。 山陽が江戸に遊学するときに梅颸が詠んだという歌 不二のねもあふ…

架空勅撰和歌集

「近世和歌集」を読んでいてヒントをもらったのだが、 たとえば孝明天皇が存命中に宣旨を出したと言う仮定で、 応仁の乱の直前で途絶えた勅撰集の、その後の歌を集めて、 選者は孝明天皇の近習の誰かということにして、 実際には江戸時代の歌人たちの歌を集…

景樹2

はづき十六日の夜なりけむ、頼襄が三本木の水楼につどひて、かたらひ更かしてよめる すむ月に水のこころもかよふらしたかくなりゆく波の音かな 文政7年(1824) 8月16日に香川景樹と頼山陽が会ったときに詠んだ歌らしい。 香川景樹は1768年生まれ、頼山陽は178…

龍馬

龍馬はまさに「さざれ石が巌となって苔むすまで」虚像がふくれあがった人と言うべきだろう。 土佐を脱藩して薩摩の密偵とか武器商人相手のブローカーのような仕事はしていたかもしれないが、 教養があるわけではなく、今でいうところのやくざの中堅幹部くら…

蘆庵2

この人の言う「ただ事の歌」というのも、江戸時代に相当に流行っていた狂歌や、俳諧などとの棲み分けが難しいところがあり、 また蘆庵の歌にも狂歌とも言えるきわどいものもあるが、 まあそれだけ和歌が江戸時代に多様性を獲得しつつ成熟していたことを表す…

京都御所の紫宸殿の左近の桜は桓武天皇の時には梅だったが、枯れたために840年くらいに桜に変わり、 その後959年に火災で燃えてしまったので、吉野桜(いわゆる山桜)を植えたという。 今の左近の桜は写真から察するに山桜のようだ。 江戸時代には彼岸桜系のエ…

小沢蘆庵の歌

江戸時代の知らない人。でもなかなか良い。 宣長とほぼ同世代の人で交流もあったらしい。 よしさらばこよひは花の蔭に寝て嵐の桜散るをだに見む これは良い。 けさよりは吉野の山の春霞たが心にもかかりそむらむ あともなき朱雀大路の古き世を思ひ出でつつ雪…

香川景樹の歌

面壁の達磨 あまりにも背き背きて世の中の月と花とにまた向かひけり 面白いかもしれない。 山よりも深き心のありがほに市の中にもかくれけるかな 市井の聖ということか。 なんか、いかにも題材が江戸時代っぽくて面白いな。 自由自在というか。

良寛の歌

良寛の歌は僧侶らしい静かな美しい歌だ。 明らかにわかるレベルの差。 あしびきの深山を出でてうつせみの人のうら屋に住むとこそすれ しかりとてすべのなければいまさらになれぬよすがに日を送りつつ はなかつみかづにもあらぬしづが身を長くもがもと祈る君…

賀茂真淵の歌

本居宣長全集を読んでいると、村岡典嗣の評として(やや抜粋) 歌人としての宣長は、遺憾ながら第二流、もしくは以下の評価を甘受せねばなるまい。 文学や詩歌に対する、未曾有のすぐれた理解や見識を示した彼にして、なにゆえにかくのごときであったかは、 …

目の付け所は良い

東京都は『源氏物語』を有害図書に指定しよう! ついでに「とりかへばや物語」も・・・ なるほど、里中満智子の指摘だったのか。 なーんだ。 なぜアニメや漫画だけなのか。18歳未満の性体験でいえば、『源氏物語』や『ロミオとジュリエット』も規制対象にな…

三島由紀夫が復活する

小室直樹「三島由紀夫が復活する」あまりに懐かしいので図書館で借りてみた。 毎日ワンズ2002年初版となっているが、 わずか8年前に読んだはずがない。 20年以上前のはずだ、と思って調べてみると、 小室直樹文献目録には 発行:毎日フォーラム 発売:毎日コミ…

酒を詠んだ戯れ歌

飽き果てぬ酒に心の失せぬ間に酒なき里にうつり住ままし あさか山かげさへ見ゆる山の井の浅くぞ酒は飲むべかりける ゑはばとて秩父の山のいはが根のいはずもありなむよしなし事は 雨降れば湯気にくもれる窓の戸のゑひて心のなどか晴れざる 春の日に酒てふも…

岩波文庫和歌集

ざっと検索してみると、現在岩波文庫で入手できる和歌集は 古今和歌集 佐伯梅友校注 定価 840円 1981年1月16日発行 新訂 新古今和歌集 佐佐木信綱校訂 定価 798円 1929年7月5日発行 新勅撰和歌集 久曾神昇,樋口芳麻呂校訂 定価 735円 1961年4月25日発行 新…

古今集

古今集を読み始める。 面白い。 新古今で家隆の おもふどちそことも知らず行き暮れぬ花の宿貸せ野辺のうぐひす が実は素性法師 思ふどち春の山べにうちむれてそことも言はぬ旅寝してしか の本歌取りだったりとか。 実朝の万葉調というのが実は万葉集から来た…

プーさんの鼻

俵万智「プーさんの鼻」をさらっと読む。 そうかあ。 かつての学生歌人が20年経って今はこんな歌を詠んでるのか。 我が子を「みどりご」と呼ぶシングルマザー。 贈り物が いるけどいないパパから届く このあやうさがやはり俵万智なんだよなあ。 ある意味20年…

ねぢけゆくわが心

木の花の咲くがなどかはめづらしきよそぢとしふる我が身なりせば 木の花のうつしゑうつすはかなさよよろづの人もならふてぶりに ねぢけたる老い人なれやわこうどのいはふ日なれどたのしくもなし 春の日にねぢけゆくわが心かなおくりむかふる人の世ぞ憂き い…