不確定申告

tanaka0903

詠歌

和歌

うつせみの このよのことを しるほどに わかかりしひは しらざれど しりにしのちは あぢきなく しなめしなめと おもへども いまだにいきて ただゑひて 日々をおくりて はるはきて いつかはしなむ いまこそしなめ 反歌 愚かなる 世に生まれけり 愚かなる 我が…

和歌の道は花鳥風月から入るべし

根岸に住む人に歌を見てくれと言われて見た。 春の朝うぐひすの声は聞かねども根岸の里はのどかなりけり 人の歌を添削するというのは難しいものだ。 私なら、 うぐひすのはつねはいまだ聞かねども根岸の里に春はきにけり とでも詠むだろうか。 特段良くなっ…

「虚構の歌人」に載せた自詠の歌の一つに致命的な文法上のミスを発見してしまった。 恥ずかしい。しかし印刷したものは直せない。 まあ、人間は過つものだよな。 しぬばかり 酒飲むことも ありけむや いまはおぼえぬ わかかりし日に 世の中の 人とたはぶれ …

春一番吹きたる日に酔ひて詠める

ツイッターにツイートしたのを適当に直してある。 つれづれと 行き交ふ人を ながめつつ いくさかづきを けふもかさぬる しるしなき ことを思はず しるしなき 酒だに飲まで 世を過ぐさまし おほかたの 酒てふ酒は 飲みつれど 我が世に何の 慰みはありし 浮か…

冬さらば 人は知るべし 春来むと 我は何をか 知り得べかるらむ 鶴亀の 齢は持たで いかにして ちとせの後に 名をや残さむ いかにして 人に知られむ しろかねも 黄金も玉も 我にあらなくに うつせみの 我が身はまだき 酔ひにけり わづかばかりの 金は惜しめど…

実はこないだ久しぶりに中編くらいの小説を書いて新人賞に応募したのだが、これは落ちてもKDPで出す予定がない。 新人賞が取れれば多少恥をかいてもよいが、そうでないのなら人目にさらしたくはない、そういうものだからだ。 私の場合あまりネタを使い回すこ…

或老人之歎歌一首並反歌四首

我が書きし ふみのかずかず 我が詠みし 歌のかずかず うつせみの うつし人にて あらむ間に 残しおかむと たくめども ときのまにまに いそとせは むなしくすぎて 身とともに 心も老いて あたらしき 思ひも出で来ず めづらしき ものも見出でず 名をのこす 人は…

たがよべばとて 春は来るらむ

水戸に出張したときに作った詩。今更題を考えるのが面倒なのでとりあえず無題。 関東水戸城 一夕偶来泊 饗宴雖招吾 憂心欲独酌 水戸にたまたま一泊した。みんなで呑もうと誘われたが、そのあと独りで飲みに行った、という話。 いそぢこえてなほいきめやもそ…

詠草

若かりしころに学びしたのしさも よはひとともに消えはてむとす いつよりかなりはひをかくいとひけむ たのしかりけるほどもありしを 世をはなれ歌のみ詠みて暮らさまし むかし学びしことも忘れて

ほととぎす

ついさっき、うちの近所でホトトギスの鳴き声を聞いた。 キョッ、キョッ、キョキョキョ、つまり、ホットットギス、みたいな鳴き方。 わりとゆっくり。 ユーチューブでも確認したから間違いない。 のどから血を吐くような声、というわけではない。わりと澄ん…

詠歌一体

朦朧趣味を読み返してみると、 やはり為家という人は、父定家には似ず、むしろ祖父の俊成に似て、 素直なわかりやすい歌を詠む人であったように思う。 丸谷才一は定家が好きで為家が嫌いなのだ。 だからたぶん俊成もそんなに好きではなかろう。 為氏は定家に…

ひとつの仮説

飲む前は飲まじと思ふ 飲めばとくやめんと思ふ されどすべなし 特に最近の傾向だが、 酒を飲まずにいると血圧が 99-65 とかになる。 普通に低いのではなく、 アンカロンやアーチストなどの薬によって心臓を強制的に休ませているせいではないか。 だが、酒を…

とりよろふ

「とりよろふ」は万葉集に「大和には群山あれどとりよろふ天の香具山」という形でしかでてこない。 岩波古語辞典はあっさり「不詳。気持ちや生活のよりどころとする意か」とある。 「とりより」から派生したのは明らかであり、こちらは用例が多い。 原義は「…

真白嶺と芝山

最近また和歌を詠もうと思いリハビリしてる。 しもふさと むさしを分くる すみだ川 かへり見すれば 富士の真しらね と しもふさと むさしを分くる すみだ川 かへり見すれば 富士の芝山 のどちらがよいか悩んでいる。 「真しらね」は「真白嶺」だが、どうも不…

季節の変わり目の風邪

風邪引いてだるい。 こないだ白血球が減ってたから免疫弱まってて治りにくいのかな。やだな。 はやく薬代えたい。 秋や来ぬ夏やおはりぬ暑からで寒くもあらで風邪ぞひきつる 夏の夜の暑さに風邪をひきし身にけふは涼しき秋風ぞふく どうかね。

訓導の詠歌

祖父は昭和二十年当時、国民学校の訓導、つまり今で言う小学校の教諭だった。 四月四日、訓導にも動員令が下ったと、 祖父は「応招前記」という日記に書いている。 面白いのは毎日のように和歌を詠んでいることで、 祖父が和歌を詠むとは初めて知った。その…

鐘の音寒き浅草寺

今書いている小説はほぼできあがった。 主役は新井白石。 ヒロインは将軍家継の生母・お喜世の方。 たぶんこのパターンの話は今まで無いはず。 しばらく一人称の話ばかり書いてきたので、リハビリを兼ねて、今回は三人称で書いてみた。 どちらかと言えば短編…

和歌

久しぶりに歌でも詠むかと思うのだが、あれは、毎日詠んでるから詠めるのであって、半年近くブランクがあると、 なかなか出てはこない。 手にあふぐうちはの風にやがて来む夏の暑さのおもはるるかな 少しずつ、リハビリ。 ともかく、肺がへたって機能が低下…

四行詩

オマル・ハイヤームのルバイヤート。 岩波書店の。 著作権切れなのな。 Rubaiyat of Omar Khayyam rendered into English Verse by Edward Fitzgerald Wikipedia には 神よ、そなたは我が酒杯を砕き、 愉しみの扉を閉ざして、 紅の酒を地にこぼした、 酔って…

詠草

雪や降る 霰やふると 手をのべて 雨のしづくに 触るる頃かな 金はなし 金無きをりに 酒飲めば ありと思ひし 頃のしのばる 飲めや酒 つまめや肴 一杯の 酔ひぞたのしき 金はなけれど 雨音の しづけきよはに 酒飲みて 何をか我の 歎きてあらむ 下の句は伊東静…

詠草

この頃は酒飲む金もなかりけり仕事の憂さを晴らす薬を

学びの窓

我が部屋に文読みをればさ夜更けて人は学びの窓とやは見む けふまでになさむと思ひしことはせで明日もいとなき日を過ぐすかな こうしてまた日曜日にまとめて仕事をするのでした。

ひどい一日だった。

人はいつも おのがありかに 飽かずして 逃れ出でむと 思ひこそせめ 連休明けというだけでなく、何から何まで最悪だった。 良い仕事はしたと思う。 しかし、そのわりには満たされない。 しかし、今自分の居るところが気にくわないと、 仕事や住む所を転々とし…

ここちこそせね

データベースで調べてみると古くからけっこうあるのに驚いた。 恋しきにきえかへりつつあさつゆのけさはおきゐん心地こそせね 在原行平 風吹けば川辺涼しく寄る波の立ち返るべき心地こそせね 夜とともに恋ひつつ過ぐる年月は変はれど変はる心地こそせね 頼め…

夏の盛りの思ひやらるる

春たけて 暑さましゆく このごろは 夏の盛りの 思ひやらるる

たけゆく

また和歌データベースで遊ぶ。 21代集をカバーしているので、そこそこ遊べる。 「たけゆく」だが、 「月」「月影」「日影」「春」「夏」「秋」「年」 など。 一番古いのは古今集かげのりのおおきみ さ夜ふけてなかばたけゆく久方の月ふきかへせ秋の山風 次は…

春の家居

日の光 満ちぬる春に 家ゐして 庭の木の芽の 伸びゆくを見る たけ高く なりゆきなむと 庭の木に 春の日差しの たのまるるかな 軒近き 隣のやぶも 今はなし とほくに来鳴く うぐひすを聞く やはらかき 庭土踏みて 生ひ出づる ちぐさもも草 根引き抜く頃 こぞ…

御衣黄

飯田橋で電車を降りて、東京大神宮、靖国神社、千鳥ヶ淵、皇居御苑などをぶらぶら歩く。 気持ちの良い一日だった。 最近は、テレビも「パワースポット」などという言葉を流行らせようとしているが、 これは要するに新手の霊感商法のようなもので、 こんなも…

忘れ草

八千草のいづれがそれか忘れ草名にのみ聞きて我れ知らなくに 野辺に出でて我れも摘みてむ忘れ草よもまがはじよ忍ぶ草とは 忘れ草忘れな草ととりよろふ野の八千草にまどひぬるかな 忘れ草同じ忘るるものならば酒飲むこともなほ忘れなむ 牛ならばひねもす野辺…

酒を抜いた日

今日は珍しく、外歩きもせず、家でも酒を飲まなかった。 酒を飲まないと一日が長い。 仕事もしたし、遊びもした。金は使わなかった。まあそんな感じ。 酒なくば 明け暮れもせで ありけるが 飲までこよひは 過ぐしけるかな 酒もなく 浮かれ歩きも たはぶれも …