不確定申告

tanaka0903

なみより出ででなみにこそ入れ

武蔵野の広漠とした風景をうまく表した歌

むさしのは 月の入るべき 山もなし 草より出でて 草にこそ入れ

これは江戸時代の俗謡で元は、藤原通方という人の歌

むさしのは 月の入るべき 峰もなし 尾花が末に かかる白雲

であるという。採られているのは続古今集。 しかし、土佐日記に出てくる歌

都にてやまのはに見し月なれどなみより出ででなみにこそ入れ

にも似ている。 合わせ技なのだろう。

藤原通方という人はよくわからんが、定家と同じ時代の人だったようだ。 通方の歌を指摘した人はいるようだが、 土佐日記に言及した人はいないように思う。