不確定申告

tanaka0903

詞花集

萌えいづる 草葉のみかは 小笠原 駒のけしきも 春めきにけり

小笠原は小笠原氏発祥の地であり、甲斐国巨摩郡にある地名。 巨摩郡と書くが駒郡という意味であろう。 広大な馬牧場があったか。

富士や白根山などの連峰の谷間の牧草地に春が来ると、 新緑だけでなく、馬のようすも春めいてくる。 そんな春の牧場を詠んだ歌。

なんとすばらしい歌だろうか。 もう少しこの歌は評価されて良いと思う。 新風とはまさにこのような歌を言うべき。 定家はこういう歌にはまったく冷淡だった。

春くれば花のこずゑに誘はれていたらぬ里のなかりつるかな

白河院御製。なかなかよい。

さくらばな手ごとに折りて帰るをば春の行くとや人は見るらむ

素性法師の、見てのみや人にかたらむさくら花てごとにをりていへづとにせむ、にちなむのであろう。なかなか良い。

春ごとにみる花なれど今年より咲きはじめたるここちこそすれ

これも素直な良いうた。

ふるさとの花のにほひやまさるらむしづ心なく帰る雁かな

なかなか良い。

年をへて燃ゆてふ富士の山よりもあはぬ思ひは我ぞまされる

詠み人しらず。 民間歌謡か。

全体的にレベル高い。