不確定申告

tanaka0903

霊元院の歌

梓弓やしまの外の波風ものどかなる世の春やいたらむ

袖の香を家づとにせむ道の辺の垣根の梅は折るべくもなし

山水の一つ流れをいく町にすゑせき分くるしづが苗代

夏もはやなかばは過ぎぬさみだれの晴れぬ日かずを数へこし間に

おのがためつれなき妻を有明の月にたぐへて鹿や鳴くらむ

消えなばと拾はで見るも笹の葉のうへにたまらぬ玉あられかな

都にはまだ降りそめぬ雪をけさ山の端白く見てぞおどろく

風に伏し霜にしほれて池水のみぎはに枯れぬ芦の葉もなし

つたひ来る流れも細き岩間よりこほりにけらし山河の水

にひまくらかはす言葉も年月の思ひのほどをいかが尽くさむ

おどろかす一筆もがなあひ見しは夢かとたどる今朝のまた寝に

ひとたびはあひ見し人の忘るばかりにまたぞつれなき

ひととせのしわざいとなき民や住む田づらに見えてつづくいほりは