不確定申告

tanaka0903

詠歌

吉野百首

なんか忙しいと、つい現実逃避してしまうようで、書きかけだった吉野百首も完成させた。 宣長がまだ花の咲いてない吉野山に花見に行ったときの、やや間の抜けた旅の歌集なのだが、 吉野と宣長の因縁とか、生涯に三度行ったこととか、あるいは晩年における桜…

雨 みぞれ 雪

春雨を家に籠もりてやり過ごし晴れなば明日はいづこへか行かむ ことしげきなりはひつづきあめふればたまの休みはやすらひにけり 春たけて春雨ならでさみだれはまだしき雨を何とか呼ばむ 我がやどに春のみぞれは降りにけり寒さも知らで籠もりゐたれば 風さえ…

暦を見る

埋まりたるこよみを見ればかなしけりこれよりほかに生きるすべなし 逃れ出づるほかの世もがななりはひをこよみに埋めてありわぶる頃

さりゆく春は惜しむのみかは

花は散りかつはかへでの葉ぞ生ふるさりゆく春は惜しむのみかは ひかりみちなべて木の葉はあをみゆく散る花惜しむこころはあれど さて、「惜しむのみかは」で検索してみると、あるある。 俊恵 花の色を惜しむのみかは山里はいつかはひと目またも見るべき 花だ…

狂歌

いきつけの店に寄らむと思へどもいつもと同じ今日のおすすめ ひどい歌だな。 我が詩情はもはや枯れた。 はなみつつねびえやしけむかぜをいたみせきもとめあへぬながれなりけり 寝冷えして風邪を引き鼻水や咳がとまらないという意味。ひどい。これはひどい。 …

一番初期に詠んだ歌

たまたま当時の日記が残っていたので漁ってみる。 20才の3月13日。 久しぶりにこたつを出してあたりつつ松本伊代の歌など聴けり つれづれにうるせいやつらに鉛筆で塗り絵をしつつ春の日は過ぐ 金のない学生なればやきそばの三食分を晩飯に食ふ リプトンとト…

山形赤湯温泉合宿免許

大学三年生の夏。22才。青春だなあ。車と中免の同時教習だった。 ふかきよりふかき思ひに入りにけり今ひとたびと求むるにより いねし間に町に夕立はふりにけりよひの祭りを清むるごとく 花も実もあらで畑におふる木をつくづく見れば桜なりけり 思ふさまに林…

古歌

われひとりもの思ふとも思はれずとも思はれずもの思ふ身は へんてこな歌を詠んでいたものだな。 はかはかと部屋片付けて暑さのみいかにもえせで過ぐすよはかな エアコンなんてなかったんだな。 「はかはかと」は「はかばかし」からの連想だろうが、造語だな…

みよしののよし野の山の山さくら花

ときしもあれなどかは花の咲くをりにかくも嵐ははげしかるらむ とでも言いたいくらいに風の強い日。 電車もバスも乱れまくり。 それはそうと、 だいたい、これでもかこれでもかとばかりにやたらに桜が咲いているのはたいていソメイヨシノであり、 おそらくは…

風邪気味

寝覚めして起き出でもせでつらつらときのふのことを思ひ出だしつ 送別会ということを いくたりかまたあひも見む思ふどちつどひて人を送り出だせば 岩波書店には近世和歌集と近世歌文集(上・下)の二つがある。 ややまぎらわしい。 しかも内容が一部かぶってる…

さくらまつり

まだ全然咲いてないのにさくらまつりとて 春を浅み色香の足りぬ花を見にしひてつどへる市の店並み 花を見て酒によはむと思へども花は少なし日もまた寒し 山のはに日はかたぶきてかげりゆく麦酒寒き春の夕暮れ 春遅く花は咲かましうらうらとあたたかき日に花…

梅颸詩抄

「梅颸日記」は見延典子の「すっぽらぽんのぽん」などである程度わかるのだが、原本を見るのはちと難しいようだ。 「梅颸詩抄」は入手困難。 そもそも「颸」がOPACで検索できない。困った。 山陽が江戸に遊学するときに梅颸が詠んだという歌 不二のねもあふ…

酒を詠んだ戯れ歌

飽き果てぬ酒に心の失せぬ間に酒なき里にうつり住ままし あさか山かげさへ見ゆる山の井の浅くぞ酒は飲むべかりける ゑはばとて秩父の山のいはが根のいはずもありなむよしなし事は 雨降れば湯気にくもれる窓の戸のゑひて心のなどか晴れざる 春の日に酒てふも…

ねぢけゆくわが心

木の花の咲くがなどかはめづらしきよそぢとしふる我が身なりせば 木の花のうつしゑうつすはかなさよよろづの人もならふてぶりに ねぢけたる老い人なれやわこうどのいはふ日なれどたのしくもなし 春の日にねぢけゆくわが心かなおくりむかふる人の世ぞ憂き い…

大国魂神社

なぜか大国魂神社にしだれ桜を見に行く。 そのあと府中美術館。 歌川国芳展。まあまあ。 文覚が那智の滝に打たれる三枚続きの浮世絵が印象的。 ひろびろとして良い町。 工場も多いし競馬も競輪もあるからさそがし地方税やら医療費やらは安かろう。 戦闘機も…

黄砂襲来

もろこしの砂も降り来る春の日の夜半は嵐を聞きつつぞ寝る 雨風はきのふの夜こそはげしけれけふはしづけく春ぞ更けゆく をちこちの花咲く野辺にうたげせむ日どりばかりぞまづ決まりゆく 惜しまずやあたら月日を春さればつとめもしげくなりゆくものを いにし…

地名づくし習作。

たばこぐさともに飲み食ひするがなる富士のけぶりのけぶたくもあるか ええっと。「飲み食いする」と「駿河」がかけてあるわけです。 しらぬひの筑紫しまねの峯の湯の湧き捨つるほど歌は詠まばや 蝦夷島の人も通わぬ山の湯におびただしくも湧く歌もがな 伊豆…

詠草

カラオケ歌った次の日は、気分は絶不調。 蚊も飛ばぬ春の暮れには松が根を枕に我もゑひて寝まほし 八千歌を我は残さむもののふの八十路を過ぐるよはひ保たば いまいち。

暑い。

暑すぎる。 暖かき春の日なかは夏衣一重のみこそ着まく欲しけれ いとまある大宮人にはあらねどもけふも日暮らし文を見るかな

春の妄念。

外飲みしながら のどけくもうつろひやすき春の空明日はふたたび雨とやはならむ 天気予報士でなくてもこのくらいの歌は詠んでもよかろう(笑) うすぐもり春のゆふべに道を行く人をながめて酒を飲むかな 暮れぬまにはやともしびをともしけり道のむかひにあきな…

春の良き日に

ホワイトデーとて あな憂しやもらへどかへすものもなし家にこもりてけふは過ぐべき なんとなく。 飲めや酒憂さを忘れむ浮かれ世の春は楽しきことのみならず 海鮮バーベキューの店で。 かぶと焼きまぐろの目玉くじりつつ生ける我が身のはかなさを思ふ わたつ…

春の夕暮れ

もろこしのそばをすすれば暖かし風うら寒き春の夕暮れ おのづから店を求むる夕暮れは酒飲むときと何思ひけむ 風さえてさむからむほどがここちよし日長くなりぬ春の夕暮れ まだまだ親父臭い。じわじわ親父臭い。いまいち。

述懐

ひととせか三とせばかりも世を捨てていづこともなくさすらはまほし はるあきは住みこそ憂けれなりはひのことしげきのみうれしくもなし もしわれに死ぬまで足れる金あらば明日よりつとめやめましものを わがつとめおこたらむとは思はねどしづのをだまき飽きも…

海の羊飼い

わたつみに羊飼ふてふあらえびす我がしきしまの船はひるまじ うーんいまいち。 いさな追ふ海人に仇なすえびすらのまがつ心をくじきてしがな うーん。 勢いで詠んだ。

わが里の雪

たまぼこのみちのく蝦夷はいかならむえこそ積もらねわが里の雪 どうよ。 うれしやとおもへばやがてやみにけるたのみかひなきわが宿の雪 いまいち。 みささぎに ふるはるのゆき / えだすきて あかるき木々に / つもるとも えせぬけはひは 伊東静雄はやはりす…

代々木の園

なぜか明治神宮に行ってきた。 降ればなほ行きて見まほし春雨に代々木の園は青みたるかと みそのふに春雨ふれば人を無みひとりしめ野にあるここちする 正直に言えばここまでは「心象風景」。 わりに人はいた。 しかもふしぎと女が多い。 最近、明治神宮内の…

雪を待つ春雨の夜

雪を待つ春雨の夜に詠める歌五首: 明日もまた雪はふるらしひと月も待たで桜は咲きそむるとも 今さらに雪は降らめや雨だれの音もしづけき夜もあけなば めづらしく酒も飲まずに籠もりけりゑひ飽きにける春雨の夜 雨はゆき雪は雨にとかはるらむなまあたたかき春…

春を待つ

春を待ちて詠める歌四首。 居酒屋にて山うどの芽の酢味噌和えを食べてこれは春の旬のものとて、きたる桜まつりの話などすれば: あしびきの山うどの芽をかじりつつ桜の花を待つここちする 旧暦と今の暦は二ヶ月ほどの差があるが: いにしへのこよみの読みはこ…

酒の歌四首: にごれるもすみて清きも色濃きも泡立ちたるも酒はみな良き 日の本やこまもろこしととりよろふよろづの酒を飲みてしやまむ いはしみづ汲みて醸せるうま酒は神のいさむるものならなくに たまくしげ箱根の峯の笹原のささ酌みかはし夕餉たのしむ 箱…

会議中

あまりに退屈だったので仕事の後で酒を飲むことばかり考えながら詠んだ歌三首: なりはひのつとめ終はりて立ち呑みのどちにつらなる時ぞ待たるる たなつもの醸し作れるうまざけにわがゑはばこそけふも終はらめ 思はずやあかがね色のむぎざけを樽よりそそぐを…