武士の歌
魁けてまたさきがけん死出の山迷ひはせまじすめらぎの道
砕けてもまた砕けても寄る波は岩角をしも打ち砕くらむ
君はただ尽くしましませおみの道いもは外なく君を守らむ
いざ子供馬に鞍置け九重の御はしのさくら散らぬその間に
田中寅蔵
いづかたも吹かば吹かせよこの風よ高天原はまさに吹くまじ
四方山の花咲きみだる時なれば萩もさくさく武蔵野までも
松田重助
一筋に思ひこめてし真心は神も頼まず人も頼まず
夜の鶴子を思ふやみに迷はぬぞげにたのもしきやまと魂
世のために尽くすまことは三島なるかしこき神もしろしめすらむ
するがなる富士に積もれる白雪はすめら御国の光なりけり
ちりひぢの身はいかにせむけふよりはすめら宮居の守りともがな
ますらをの涙の雨のかかる夜に道なたがへそ雲のうへ人
ますらをの武き心のさきがけて世にも知られむ梅の香ぞする
数ならぬ身をば厭はで秋の野に迷ふ旅寝もただ国のため
国のため落つる涙のそのひまに見ゆるもゆかし君のおもかげ
死にてなほ君につかふる真心は千歳を経とも朽ちるものかは
うむ。やはり伊東甲子太郎が数も多いが出来も良い。 というか、きちんと詠んでいる。 出身が水戸の近くだから、水戸学の影響を受けているようにも思える。