不確定申告

tanaka0903

もののふの

頼朝

もののふの八十宇治川をゆく水の流れてはやき年の暮れかな

柿本人麻呂

もののふの八十宇治川網代木にいさよふ波のゆくへ知らずも

元明天皇

ますらをの鞆(とも)の音すなりもののふの大臣(おほまへつきみ)楯立つらしも

笠金村歌集

もののふの臣(おみ)のをとこは大君の任(まけ)のまにまに聞くと言ふものぞ

刀理宣令

もののふの石瀬(いはせ)のもりのほととぎすいまもなかぬか山の常影(とかげ)に

読人知らず

もののふの八十宇治川の速き瀬に立ち得ぬ恋ひも吾れはするかも

大伴家持

もののふの八十をとめらが組みまがふ寺井のうへの堅かごの花

秋の庭今こそゆかめもののふのをとこをみなの花にほひ見に

岩波古語辞典によれば、「もののふの」は「矢」「射」にかかる枕詞で、 「矢」から「八十」、 「射」から「岩瀬」、 また(武臣だけでなく文臣も含めて、臣下の)人数が多いときにも使うとある。