牧水
若山牧水来ました(笑)。
朝日影さし入りて部屋にくまもなししみじみとして酒つぐわれは
ひどい歌だな。朝っぱらから酒か。
ほんのりと酒の飲みたくなるころのたそがれがたの身のあぢきなさ
わかる気はする。
病む母を眼とぢおもへばかたはらのゆふべの膳に酒の匂へる
これは放蕩息子と言いたいのか。
いざいざと友に盃すすめつつ泣かまほしかり酔はむぞ今夜
われに若しこの酒断たば身はただに生けるむくろとなりて生くらむ
妻が眼を盗みて飲める酒なればあわて飲みむせ鼻ゆこぼしつ
うらかなしはしためにさへ気をおきて盗み飲む酒とわがなりにけり
足音を忍ばせて行けば台所にわが酒の壜は立ちて待ちおる
やまいには酒こそ一の毒といふその酒ばかり恋しきは無し
なんとも言いようがない。 おまけ
白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ
牧水の歌はたいてい駄作だが良いものも少しある。