順徳天皇
山がつの園の垣ほの梅の花春知れとしも植へずやありけむ
山に住む田舎者の庭に梅の花が咲いているが、春を知っているとしても、無骨なので、植えなければ良いのに、 と言う意味か。
暁と思はでしもやほととぎすまだなかぞらの月に鳴くらむ
ここでも「しも」を使っているが、明け方と思わないで欲しい、まだ月が中空に残っているのに、 という意味か。
やはり田舎の景色を詠んだものに面白いものがある。
難波江の潮干の潟や霞むらむ葦間に遠きあまの漁り火
明石潟あまのとまやの煙にもしばしぞくもる秋の夜の月
明日もまたおなじ夕べの空や見む憂きにたへたる心ながさは
憂しとても身をばいづくにおくの海の鵜のゐる岩も波はかからむ
蝉の羽のうすくれなゐの遅ざくら折るとはすれど花もたまらず
山川の氷も薄き水のおもにむらむらつもる今朝の初雪