不確定申告

tanaka0903

新井白石日記

新井白石の日記を、全集ではなく、白石日記上下巻というもので読んだのだが、 あっけないほど短い。 折り焚く柴の記の半分もないように思う。

芝の白銀、つまり今の港区白金のことだと思うが、ここに綱豊から屋敷を拝領したという記述がある。非常に興味深いが、今までそんな記述は見たことない。 綱豊というのだから、まだ甲府藩邸勤務の頃だ。下屋敷か何かだろうか。 それとも本宅か。しかし、当時の白金はずいぶん田舎なはず。

改行が多く、難解ではないが、なんというかだらだらしてておもしろみはない。 一度じっくり読んでみる必要はあると思うが。 読み物として見れば断然折り焚くの方がおもしろい。

ふと見ると、夢で見たという「倭句」なるものが二箇所ほどみつかる。

寛永二年五月十四日
笛吹く宿へほにはろいいろは哉

正徳二年二月三日
春くれば垣ほの梅のほころびて
我が前に立つ人ぞ嬉しき
慰めに天といふ人まれなるべし
道にして心を道に任すれば
すでに天知る心なりけり
必ず後に至らざりけり 
花橘の香には匂へる
ただただ道に任すべきなり

これは、何のつもりなのだろうか。 神のお告げのたぐいか。 和歌はある程度わかるようではあるが、 和歌を嗜むとか訓練を積んだというようにはみえない。 和歌のように見える箇所もあるが、単語や内容も陳腐だし、 素人同然と言ってよいと思う。