不確定申告

tanaka0903

2014-08-31から1日間の記事一覧

和歌とプロパガンダ

伊東静雄の詩を読むと、 当時の日本人の昂揚と、そこから突き落とされた絶望が刻まれていてつらい。 伊東静雄は戦前はドイツ語訳風な漢語調の硬派な詩を作った。 しかし戦中は大和言葉で詩を作った。 戦後、ふつうの話し言葉で詩を書くようになった。 伊東静…

国費留学

なんか最近は割とツイッターを読んで書くようになった。 わざわざこのブログのリンクを貼るようなことはしないが、 興味をもった人はリンクを貼らないでも読みに来てくれると思う。 ツイッターでフォロワーを増やそうとしているのはむろん私の小説の読者を増…

文学全集を立ち上げる

以前に京極派 で、丸谷才一は京極派というものがまるでわかってないんじゃないかと疑いを持ったのだが、 この「文学全集を立ち上げる」という本を読んでますます疑念は深まった。 日本文学全集に古今集と新古今集と風雅集と玉葉集を入れるという。 なぜより…

日本に学者はいなかった

丸谷才一「文学のレッスン」のp152に「日本に学者はいなかった」という章がある。 非常に困惑する章題なのだが、本文を読んでみると、 「近代日本文学では学問が軽蔑されていた」、とか、 「小林秀雄は明治憲法で中村光夫は現行憲法だ」などと書いている。 …

平家物語の主人公

丸谷才一は「文学のレッスン」の中で p124 「平家物語」は、前半の主人公は平清盛、後半の女主人公はその娘である建礼門院徳子という形になっていて、このバトン渡しがうまくいっているせいで成功している。 と書いている。 はて。そんなばかな。 「平家物語…

登城

丸谷才一の「文学のレッスン」に江戸時代の侍はひと月に四、五回お城に行けば勤めたことになるから暇人天国だったなどと書いている(p204)が、そんなはずはないと思う。 事務職じゃないんだから城にいれば仕事が勤まるはずもない。 ある程度以上偉い人は蔵米…

文学のレッスン2

長くなるので記事をわける。 p151 色好みの話で、こういうエピソードがあります。本居宣長が亡くなったとき、弟子たちが本居家に集まって、酒を飲みながら口々に先生の偉大さをたたえ、あんな偉い学者はもう出ないみたいなことを語りあっていた。そしたらお…

文学のレッスン

丸谷才一「文学のレッスン」を読んだ。 丸谷才一はもうなくなってしまったが、ものすごい長寿で、死ぬまで執筆活動をしていた幸運な人だ。 この本もインタビューという形で2007年頃から始めて2010年に出たものだが、 80才をとっくに越えていた。 「文学概論…

対句と対聯

聯という字が我々にほとんどなじみがないように対聯という概念も日本人には希薄だと思う。 対聯は五言排律のような比較的長い漢詩にのみ使われる用語であり、 律詩や絶句くらいしか親しみがない日本人にはよくわからん世界である。 対聯は二句だけでも成立し…