不確定申告

tanaka0903

2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

春の良き日に

ホワイトデーとて あな憂しやもらへどかへすものもなし家にこもりてけふは過ぐべき なんとなく。 飲めや酒憂さを忘れむ浮かれ世の春は楽しきことのみならず 海鮮バーベキューの店で。 かぶと焼きまぐろの目玉くじりつつ生ける我が身のはかなさを思ふ わたつ…

新葉和歌集

新葉和歌集は准勅撰とあるが、序を読んでみると、 そもそもかくてえらびあつむる事も、ただこころのうちのわづかなることわざなれば、あめのしたひろきもてあそびものとならむ事は、 おもひもよるべきにもあらぬを、はからざるに、いま勅撰になぞらふべきよ…

定家ジェネレータ

五つの句のうち、初句と二句は華やかな描写、三句は否定(かげもなし、色もなし、なかりけり、etc)、四句五句は侘びしい描写。 特に五句目は「秋の夕暮れ」「雪の夕暮れ」「横雲の空」などとすれば良い。 これ名付けて「定家ジェネレータ」。 自動的にぽこぽ…

春の夕暮れ

もろこしのそばをすすれば暖かし風うら寒き春の夕暮れ おのづから店を求むる夕暮れは酒飲むときと何思ひけむ 風さえてさむからむほどがここちよし日長くなりぬ春の夕暮れ まだまだ親父臭い。じわじわ親父臭い。いまいち。

述懐

ひととせか三とせばかりも世を捨てていづこともなくさすらはまほし はるあきは住みこそ憂けれなりはひのことしげきのみうれしくもなし もしわれに死ぬまで足れる金あらば明日よりつとめやめましものを わがつとめおこたらむとは思はねどしづのをだまき飽きも…

草庵集玉箒

宣長による頓阿の歌の解説。 山深くわくればいとど風さえていづくも花の遅き春かな 歌の意は、まず奥山ほど寒さの強き故に、花の咲くこといよいよ遅きが実の理なり。 しかるを作者の心は、その道理を知らぬものになりて、里にこそまだ咲かずとも、 山の奥に…

あしわけをぶね

相変わらず宣長を読んでいる。 排蘆小舟(あしわけおぶね)は宣長が医者の修行で京都に遊学していた28才くらいまでに書かれた歌論書で、 宣長の評論の中では比較的初期でかつまとまったものである。 現代語に全訳してやろかとも思うがそんな暇人でもない。 近…

蓮生

新勅撰和歌集を読んでいるのだが。 北条泰時が蓮生法師とやりとりした歌というのが載っていて、 父みまかりてのち、月あかく侍りける夜、蓮生法師がもとにつかはしける (平 泰時) やまのはにかくれし人は見えもせでいりにし月はめぐりきにけり 返し (蓮生法…

諫める

漢字の「諫」には、目上の人に直言して悪事をやめさせる、という意味しかないのだが、 やまとことばの「いさむ」には、たとえば たらちねの親のいさむるうたたねはもの思ふときのわざにぞありける (伊勢) または「おやのいさめし」 たらちねのいさめしものを…

海の羊飼い

わたつみに羊飼ふてふあらえびす我がしきしまの船はひるまじ うーんいまいち。 いさな追ふ海人に仇なすえびすらのまがつ心をくじきてしがな うーん。 勢いで詠んだ。

春の雪

そろそろ現実世界に戻る時が来た。 悲しい。 図書館の本はほぼすべて返却。

わが里の雪

たまぼこのみちのく蝦夷はいかならむえこそ積もらねわが里の雪 どうよ。 うれしやとおもへばやがてやみにけるたのみかひなきわが宿の雪 いまいち。 みささぎに ふるはるのゆき / えだすきて あかるき木々に / つもるとも えせぬけはひは 伊東静雄はやはりす…

定家はダダ

和泉書院の「和歌史」を読んでいるのだが、 その中の佐藤恒雄「新古今の時代」など読むと、 確かに定家に秀歌が多いと言われればそうかもしれないなと思えてくる。 たとえば定家の恋の歌 あぢきなくつらきあらしの声もうしなど夕暮れに待ちならひけむ かへる…

代々木の園

なぜか明治神宮に行ってきた。 降ればなほ行きて見まほし春雨に代々木の園は青みたるかと みそのふに春雨ふれば人を無みひとりしめ野にあるここちする 正直に言えばここまでは「心象風景」。 わりに人はいた。 しかもふしぎと女が多い。 最近、明治神宮内の…

雪を待つ春雨の夜

雪を待つ春雨の夜に詠める歌五首: 明日もまた雪はふるらしひと月も待たで桜は咲きそむるとも 今さらに雪は降らめや雨だれの音もしづけき夜もあけなば めづらしく酒も飲まずに籠もりけりゑひ飽きにける春雨の夜 雨はゆき雪は雨にとかはるらむなまあたたかき春…

うひやまぶみ

「うひやまぶみ」は確か昔、岩波文庫版を買って読んだことがあったが、すでに絶版になったようだ。 改めて読み直したが、やはり記憶どおり、割と短い文章。 本文と補足に分かれていて、補足はイロハからヤまであるが、 (ム)みづからも古風の哥をまなびてよ…

「本居宣長」連載

小林秀雄「本居宣長」は連載もので、50回に分かれていて、 正直なところ、この50回という切りの良い数字は、 必要があってそうなったのではなく、何か出版社との約束事でもあってそうなっているだけなのではないか。 というのは、 連載も30回を過ぎた辺りか…

まくらの山

これもまた小林秀雄の受け売りなのだが、 本居宣長に「まくらの山」という桜花三百首を詠んだものがある。 晩年近く、年をとると夜寝られず目が覚めてしまうことが多く、 そういうときに詠んで書きためていたらいつのまにか百首になり、二百首になり、 とう…

小林秀雄

最近は adobe も microsoft も認証方法が難しくて、ライセンスを買ってメディアを持っているだけではインストールできない。 実に困ったことだ。 microsoft office も最近は実に洗練されてきていて、継続は力と言うしかない。 openoffice.org と違うのはこれ…

春を待つ

春を待ちて詠める歌四首。 居酒屋にて山うどの芽の酢味噌和えを食べてこれは春の旬のものとて、きたる桜まつりの話などすれば: あしびきの山うどの芽をかじりつつ桜の花を待つここちする 旧暦と今の暦は二ヶ月ほどの差があるが: いにしへのこよみの読みはこ…

酒の歌四首: にごれるもすみて清きも色濃きも泡立ちたるも酒はみな良き 日の本やこまもろこしととりよろふよろづの酒を飲みてしやまむ いはしみづ汲みて醸せるうま酒は神のいさむるものならなくに たまくしげ箱根の峯の笹原のささ酌みかはし夕餉たのしむ 箱…

会議中

あまりに退屈だったので仕事の後で酒を飲むことばかり考えながら詠んだ歌三首: なりはひのつとめ終はりて立ち呑みのどちにつらなる時ぞ待たるる たなつもの醸し作れるうまざけにわがゑはばこそけふも終はらめ 思はずやあかがね色のむぎざけを樽よりそそぐを…

橘曙覧3

頼山陽を詠んだ歌: 外つ文(そとつぶみ)朝廷(みかど)おもひにますらをを励ましたりし功績(いさを)おほかり いやあ。 こりゃどうかなあ。 あんまり感心しないな。 ていうか無理矢理和歌で詠まなくてもよかったのではないかこれは。 逸脱してるよね。

橘曙覧2

日蓮宗やら頼山陽やら本居宣長の弟子やらいろんなとこに学んでいるのだな。 基本的には裕福な家庭の子ということか。 一瞬、石川啄木風かと見えたが、生活苦からくるものではない。 ある種の屈折した心理からきているのは確かだが、 別に苦労人というのでは…

橘曙覧

水島直文・橋本政宣編注「橘曙覧全歌集」を読む。 わりとおもしろい。 冒頭に載っている歌: あるじはと人もし問はば軒の松あらしといひて吹きかへしてよ 「嵐」と「あらじ」をかけている。愉快な歌。 朝ぎよめのついでに かきよせて拾ふもうれし世の中の塵は…

立ち飲み

立ち飲みに並べる人の四方山のたはごと聞くもあはれなりけり 妻や子や親はらからが諫むれど呑ままほしきは酒にぞありける

契沖

小林秀雄「本居宣長」(新潮文庫上・下)を相変わらず読んでいるのだが、 これは昭和40年から51年まで「新潮」に連載されたものをそのまま単行本にしたものらしい。 下巻の巻末にさらに補足と、江藤淳との対談というか江藤淳がインタビューする形の記事が載っ…

本居宣長

本居宣長の結婚離婚結婚 など読むと宣長の知られざる一面を見る思いがする。 大野晋氏が発見したことで小林秀雄も知らなかっただろう。 だとしても、宣長の恋の歌を読んでもそんな気配はほとんど感じられないのが不思議、 というか宣長らしい。 小林秀雄の宣…

本居宣長続き

旅 春の野の岡辺の道のつつじ花手折りて行かなたびのなぐさに 里しあらば宿借らましをあしびきの山路まどひて行き暮れにけり あまざかるひなのあら野のあら草を枕にまきて旅寝す我は あしびきの山松が根に旅寝してあらし吹く夜は家をしぞ思ふ 草枕たびと思へ…

ふみよめば

本居宣長は本が好きという話。 書読めば大和もろこし昔今よろづのことを知るぞうれしき 書読めば詳しくぞ知る天の下行かぬ国々四方の海山 書読めば見ぬもろこしの国までも心のうちのものになりつつ 書読めば昔の人はなかりけりみな今もある我が友にして 書読…