新葉和歌集・ほととぎす
南朝の親王たち(宗良親王以外はたぶん若い)が、ほととぎすの鳴く声を聞きたくて大騒ぎしている。 誰かが聞いたとか、今日は初音かとか、聞いたけど一声だけだったとか、 鶏みたいにもっとたくさん鳴けばいいのにとか、 けっこうおもしろい。
ひと声も小塩の山のほととぎす神代もかくやつれなかりけむ (懐邦親王)
ほのかなる一声なれどほととぎすまた聞く人のあらばたのまむ (守永親王)
ほととぎす鳴きつと語る人しあれば今日を初音といかが頼まむ (尊良親王)
よそにはや鳴くとは聞きつ今はよも待つ夜かさねじ山ほととぎす (泰成親王)
ほのかなる寝覚めの空のほととぎすそれとも聞かじ待つ身ならずば (長慶天皇)
今更に我に惜しむなほととぎす六十あまりの古声ぞかし (宗良親王)
八声鳴け寝覚めの空のほととぎすゆふつけ鳥のおなじたぐひに (宗良親王)