六帖詠草
蘆庵の六帖詠草を読み始めたが、 ほんとうにただのただごと歌もたくさん混じっていて、 しかも詞書きが長いのが多く、中にはもう延々と長いのもある。 眠気を催すほどだ。 どれをというのではないが、
うづまさにあるほど、夕つかた風吹き荒れて、高き木の枝折れ、瓦も散りて、いとすさまじき暮れ
瓦さへ 木の葉と散りて ふる寺の 野分けの風に またや荒れなむ
あるいは
太秦に住む頃、ほととぎすのひねもす鳴くをりから、京より文おこせたるかへりごとに
ほととぎす 声の袋に 入れられば けふの使ひの つてにやらまし
あるいは
岡崎に移りてのち、隣に人の笑ふを聞きて
何事を 笑ふと我は 知らねども 泣く声よりは 聞き良かりけり
どれもこれも、ああ、そうですね、としか言いようがないわな。