不確定申告

tanaka0903

ゴッドファーザー2

面白いんだが、よくまあこんな複雑な話を作ったものだと思う。しかも長い。

少し無理があるなと思うのは、マイケルがネヴァダからマイアミへロスに会いに行き、 その後ニューヨークでフランクに面会したときに、 マイケルを襲撃した黒幕がロスであることに気づいてたということだ。 ネヴァダにいた頃から気づいていたのか。 マイアミで直接ロスにあって直感したのか。 それともフランクの反応を見て最終的に確信にいたったのか。 語られていないことが多いのだが、 いずれにせよ、 あれだけのヒントでどうしてロスが黒幕と断定できるのか。 そこにかなり無理を感じる。

ロスのモデルはマイヤー・ランスキーというユダヤ系ロシア人であろう。 革命前のキューバでのしあがったマフィア。 カストロが親米政権を倒すとラスヴェガスの賭博に目をつける。 晩年イスラエル国籍を得ようとするが拒否される。 映画の中の設定と同じだ。

ラスヴェガスのカジノ産業を創始したモー・グリーンというマフィアのモデルは ベンジャミン・シーゲル という人らしい。 モー・グリーンは一作目のゴッドファーザーでコルレオーネ一家の敵役として登場しているのだが、 ロスはモー・グリーンと同じユダヤ系マフィアであって、 それゆえにラスヴェガスに進出してこようとしているマイケルを敵視しているらしいのだが、 これも本作だけを見ている限りではよくわからない。

でまあ、これらの実在したユダヤ系のマフィアと、イタリア系のマフィアが、 ラスヴェガスのカジノの利権を巡って対立したという抗争はあったのだろうし、 それがストーリーの下敷きになっているのだが、 それをあの映画を見ただけでわかれというのはちと難しい。

最初、マイケルの息子のアンソニーの初聖体式を祝うパーティーが開かれていて、 その場にネヴァダ州選出の上院議員パット・ギーリーという人が出てくる。 ギーリーはマイケルにカジノを認可する代わりに賄賂を要求するが、 マイケルは拒絶。 ギーリーはイタリア系移民を嫌う生粋のアメリカ人(アングロ・サクソン?)として描かれている。 次にロスの手下ジョニー・オラと会って、ロスの協力を得る。 次にフランクとあって、ニューヨークでロスの一派のロサト兄弟と和解するよう告げる。 その夜にマイケルはマシンガンで襲撃されるのだが、 この時点で黒幕は、ギーリーなのか、ロスなのか、フランクなのか、 それとも他に誰かいるのかわからない。

ギーリーは後にマイケルの兄フレドが経営する風俗店で女の死体と一緒に寝ていたところを発見されるのが、 理由は語られないが、おそらくコルレオーネ一家にはめられたということだろう。 以後弱みを握られたギーリーは公聴会に召喚されたマイケルを擁護する立場を演じる。

フランクは公聴会に証人で呼ばれるのだが、 彼はマイケルに殺されかけたと疑っており、 マフィアのボスとしてのマイケルの実像を公聴会で話すはずだったが、 フランクの兄が急遽イタリアからかけつけてきて、 それを見たフランクは一転してマイケルの容疑を否認する。 ここがまたよくわからない。 兄がマイケルと一緒にいたからマイケルを恐れたのか。 或いはマイケルに対する信用を回復したのか。 フランクはなぜFBIによってずっと拘留されているのか。 なぜフランクは、ロスが殺されると同時に自殺しなくてはならなかったのか。 ここらへんもきちんとは説明されていない。

その上、マイケルの父ヴィトーの前半生も同時に描かれているので、 ややこしいことこの上ない。