不確定申告

tanaka0903

一人暮らし

ある飲み屋のママと自分たちが学生だった頃は、だいたい一ヶ月いくらくらいかけて生活していたか、という話をしたのだが、 もうすっかり忘れてしまって思い出せない。 二十年から三十年前というのは、バブルの絶頂期に向かう過渡期だったのだが、 田舎から出てくる学生というのは、みな貧乏であって、普通は学生寮か、県人会の寮などに、相部屋で住むのが普通だったと思う。 県人会などの寮であれば家賃と光熱費込みで月に一万円程度だったはずだ。 民間の学生寮や賄い付きの下宿などは朝食と夕食、風呂が込みで、五万円程度ではなかっただろうか。 私の場合途中から寮を出て一人暮らしをはじめたのだが、 寂しいというよりは、親や他人と同居しなくてよいという開放感の方がはるかに大きかった。 一人暮らしというのは、とても贅沢な道楽のようなものに感じていた。 それでも風呂無し、トイレは共同で、月三万円の部屋だった。 銭湯は三百円くらいの時代だったと思う。毎日入っても一万円くらいか。 それから風呂無しだがトイレはある部屋、こちらは少し狭くなったが、駅近で四万五千円。 ここらまではみな学生課で紹介してもらったものであり、民間の不動産屋は通してない。 それから、給料をもらうようになるとやっとワンルームマンションに暮らすようになり、これが月七万円。 それからちと田舎の方へ引っ越して、ここは2DKで月八万円だった。

おそらく学生の頃は、全部込みで月十万円くらいで暮らしていたのではなかったかなあ。

それはそうと、今時風呂無しアパートや賄い付きの下宿などというものは、ほとんど絶滅してしまったのではないかな。 資産運用目的の、ワンルームマンションやアパート、ウィークリーマンションのようなものばかりになって。

今時、不況だと言っても、風呂無しトイレ共同のアパート暮らしをする人間などほとんどいない。 大学へ進学する人間も少なかった。 そう考えれば今は、まだ贅沢なほうなのではないか。