不確定申告

tanaka0903

温泉の歌

万葉集に出てくる唯一の温泉の歌として、湯河原温泉を歌ったという和歌があるのだが、

足柄の土肥の河内に出づる湯の世にもたよらに子らが言はなくに (よみ人しらず)

阿之我利能 刀比能可布知尓 伊豆流湯能 余尓母多欲良尓 故呂河伊波奈久尓

ほかにも山部赤人が伊予の温泉(道後温泉)を歌った長歌がある。

山部宿禰赤人、伊予温泉(いよのゆ)に至りて作る歌一首 并せて短歌

皇神祖(すめろき)の 神の命(みこと)の 敷きいます 国のことごと 湯はしも 多(さは)にあれども 島山の 宣(よろ)しき国と 凝々(こご)しかも 伊予の高嶺の 射狭庭(いざには)の 岡に立たして 歌思ひ 辞(こと)思ほしし み湯の上(うへ)の 木群(こむら)を見れば 臣(おみ)の木も 生(お)ひ継ぎにけり 鳴く鳥の 声も変らず 遠き代に 神さびゆかむ 行幸処(いでましところ)

反歌 ももしきの大宮人の熟田津(にぎたつ)に船(ふな)乗りしけむ年の知らなく

だから、温泉の歌は万葉集に、唯一ではない。