不確定申告

tanaka0903

イラン人とラクダ

イラン人ないしアーリア人が出現した時代、その伝播に要した時間、地理的分布、及びその習俗を考えるに、彼らは、これは大胆な仮説であるが、 中央アジア原産のフタコブラクダを家畜化することによって、子孫を繁栄させ、広く伝播した種族ではなかろうか。 フタコブラクダは、シリアで家畜化されたヒトコブラクダとは違い、特に寒冷で乾燥した高山地帯に強い。 その原産地はおそらく、天山山脈からパミール高原ヒンドゥークシュ山脈にかけてだろう。

ある種族が膨張伝播する要因には、青銅器、鉄器などの技術革新と、馬や羊などの有用動物の家畜化、 麦や米などの有用植物の栽培、などがある。 必ず何かの要因があるはずだ。 イラン人にとってそれはラクダだったのではないか。

トルコ人やモンゴル人のような騎馬民族は、戦争と統治によって、ある時期に急速に膨張するという傾向がある。 しかしイラン人はラクダを移動・運搬手段として、隊商を組んで、交易によって、徐々に中央アジアから四方へと、広がって行ったのではないか。 ただし、暑熱湿潤なパンジャーブ地方に入ったアーリア人たちだけは、その地に適さないラクダを放棄したのだ。 この仮説が正しいとすれば、そのステレオタイプな戦闘的イメージとは違い、イラン人は本来、どちらかと言えば友好的で、穏和な種族なのに違いない。