わかりやすく書くのに疲れている。
そろそろ定家のやつを脱稿しないと精神的にまいってしまう。
私の書いたやつというのはたいてい読みにくい。 書きたいことを書く努力と、 それをさらに磨いていく努力と、 人が読んで読みやすくする努力、この三つが必要だ。
書きたいことを書いて人にも読みやすいものを書ける人は得だなと思う。 たぶんそんな人が物書きになるのではなかろうか。 自分の書いたものは、少なくとも自分には面白いのだが、 他人はまったく面白くないのが困る。
定家や貫之や西行なんかは、私はもう頭の中にだいたいわかっているから、 それを書けばいいんだけど、 それだけでは人は読みにくい。
ある程度はしょって書かないとスピード感がでないんだわ。 何でもかんでも説明しながら書いていくともっさりする。 全然話が先にすすまないし、 ウィキペディアみたいな事実の羅列に限りなく近づく。 どっちにしても人はついてこない。 自分の中ではすでに完成形があるのにもどかしい。
作曲家の話で置き換えるとわかりやすいことがわかった。 バッハやベートーベンやブラームス、 みんなだいたい名前は知っているが、 誰が先に生まれて誰が後に生まれたかとか、 西暦何年にこの人たちが何をしたかということは、 ちゃんと書いて説明してもらわないと素人にはわからん。 ググれとかウィキペディアに書いてある、でもいいんだが、確かに不親切だ。 やはりある程度は書かねばならぬ。
自分にとって定家や貫之や西行はわかりきっているが、 バッハやベートーベンやモーツァルトはよくわからんように、 他人には、バッハやベートーベンやモーツァルトはよくわかっているが、 定家や貫之や西行はわからんのである。
ただまあ、私が読者なら、 わからんなりに面白い話を書いてくれてたら、 ググりながら読むだろうと思う。 ドラクエだってマインクラフトだって、 面白いからわざわざ攻略法調べてやるわけで、 やっぱググらせるくらい面白くなくてはならんわけである。 わかりやすく書けば良いという問題ではないのかもしれん。
最近一番外したのは『海賊王ロジェール』だと思うのだが、 ノルマンコンクエストのシチリア王の話なわけだが、 日本人にはほとんどなじみがない。 『江の島合戦』もかなり外したと思う。 こういう、まだ誰も書いてない誰も知らない話を書きたいのだが、 書いても誰にもわからない。そこが困る。
かといって頼朝とか清盛の話を書いても人がすでに書いてるからつまらないし、 じゃあ人がまだしらないこと書こうとすると、 清盛の異母弟の頼盛がとかいう話になって、 結局誰も知らん話になってしまう。とても困る。