不確定申告

tanaka0903

メディアリテラシー

まあこんなことをぶつぶつ書いてもしょうがないのだろうが、NHKのニュースで、 手術前に点滴を打たなくても同じ成分の生理食塩水的なものを口から摂取してもよくなりましたというのをやっていた。 まあそれはよい。しかし、病院というところはたいていのばあい手術前だけでなくて、三日とか七日とかぶっとおしで点滴を打つものだ。 たまたま手術前に絶食して点滴する、それをしなくてよくなりましたというのは、 そうだな、一部の外科の患者だけのことであり(たとえば痔の手術などがその典型だろうか)、 それ以外の場合、長い長い闘病生活の中の一部に過ぎない。 むしろ、手術前は、食事を抜いて点滴を打って、 気持ちの切り替えをしたくらいでちょうど良いと思う。 手術というのはつまり電気メスなんかで体を切りひらくのであろう。 点滴の針を打つのとはわけが違う。

手術前に点滴を打つか打たないかというのは要するにそのくらい些細なことにすぎない。 まあお暇なら私の書いたもの(安藤レイ)でも読んでください。 闘病生活に関してはだいたい実話だから(笑)。

しかしそんなどうでも良いことをわざわざ大げさにものすごく画期的なことのようにデフォルメしてニュースにする。 なぜそんなことをするのか。だれがうれしいのか、そんなことをして。

たぶんこれを作ったプロデューサーは自分が入院したことがないのだろう。 私がインタビューを受けたら、きっと「そんな一度点滴をさすかささないかなんて誤差に過ぎませんよ。」 とでも答えるだろう。 しかし、そういう答えはニュース構成を破綻させるから没になり、私はめでたくテレビには映らないことになるだろう。

以前もなんか、癌か何かを早期発見するかしないかとかそんな話題があった。 見てる感じでは、まだ実験段階で、実用化されるには十年以上はかかりそうな話で、 しかも適用範囲がとても狭い。 そんなものをまるでプロジェクトXか何かのように報道していいのか。

NHKというのは国会で予算が組まれる国営放送なのだから、 他の民放などが利益のためにはやらせくらいは当たり前なのとは違って、 きちんと国民に対してメディアリテラシー教育を行う義務がある。 Aという「個人の感想」があればAとは反対のBという「個人の感想」を伝えねばならない。 しかし、報道に都合の良いAという意見だけを、皆同じ意見であるかのように作る。 そんな番組を作ってはいけない。

それから最近NHKは電波塔の話ばかり流しているが、地デジなんてものはそもそも不要であり、 電波なんて競売にして、それでも必要なやつが勝手に自分の金で電波塔を建てればよいのだ。 それをまるで国家プロジェクトでもあるかのように毎日のように報道しやがる。 やれ花見だやれ地域活性化だとか。 たかが電波塔に大騒ぎするなという意見、特に携帯電話などの業界の意見も採りあげるんならまだバランスが取れるかもしれんが、 まるで地デジや電波塔は国是でもあるかのような錯覚を起こさせる、プロパガンダ放送はやめるべきだ。

NHKがきちんと教育放送でメディアリテラシーの番組も流すならほめてやろう。 それも大学生向けとかではなく小学生くらいからばんばん教育するのだ。 そうすりゃ民放もずいぶん迷惑するだろうし、NHKの株はさらに上がると思うのだが。 だいたい国家や営利企業の言うことを鵜呑みにするから戦争になるのだ。 そういう大衆を扇動しかねないメディアがいかに危険かということをきちんと教育するのが、 不幸な戦争や事故を二度と起こさないようにするほんとうの方法だ。

ところで一部で話題になっている、受託開発を振り返って というネタだが、 思うに、 「コンシューマゲーム開発におけるモラル」(なんだそりゃ)というものがどんなものかは知らないが、

上司の機嫌一つでころころ指示内容は変わるし、実際スケジュールも容量も当初の契約の倍以上に膨れ上がりましたし、果てはそれを「フレキシブルな裁量」と胸を張る始末。

上司が仕様変更を認めちゃうんだから仕方ないよなあ。 自分ところの上司のせいだなそれは。 仕様変更を認めてあげるのもサービスのうちだと思ってるんだなその上司は。 じゃあ仕方ない。 商売の一つのやり方としてそんなサービスを提供するのは有りだ。 私はもちろん嫌だが。

ライターにもよると思いますが、私は何百枚、何千枚という原稿を書いても、「この一言を伝えたかった」という一瞬のために物語を書いています。けれどその一言(どころかシーン丸々)、小学生が書いた作文のような稚拙な文体で、薄っぺらい内容に改悪されている箇所が多々ありました。

それは、ライターなんだからしょうがないんじゃないの。 「小学生が書いた作文のような稚拙な文体で、薄っぺらい内容に改悪」というのはしょせん主観に過ぎないし。 ていうか、プロのライターのくせにそんなくらいの妥協・打算も経験したことがないのか、 そのほうが不思議だ。

評価は気にする必要ありません。売れた本数が全てです」と豪語されて

それは、「豪語」ではないよな。 小学生みたいな文体にした方が受けるとプロデューサーが判断したまでではないのか。

いずれにしても、多少クリエイティブな業界にシンパシーを感じている人間にとっても、 共感は得られない話だなあと思った。 そんな話はいくらでもあるし。 こちとら毎日NHKのニュース見ててもいらいらしてんのに。 もうニュースすら見ない方がいいのかな精神の平安のためには。 まして民放のバラエティなんて見ようもんなら発狂しそうになる。

中島敦ですらあの程度の扱われ方しかしてない。 まして普通のライターや作家がどんな目にあってもおかしくないわな。